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☆奈良県の夜間中学を中心に!

 

夜間中学ってこんなところです

◇夜間中学を知っていますか?

 みなさんは夜間中学というのを知っていますか。夜の中学校って何だろうと思うかも知れませんが、実は秦良県には夜間中学が5校あります。そのうち、公立の夜間中学が奈良市天理市、植原市に3校、自主的に運営されている夜間中学が王寺町大淀町2校あります。そして、そこで学んでいる人は約500人います。(20012月現在)

 中学校というのは義務教育ですね。本来、義務教育は子どものころに受けなければならないということはお分かりのことと思います。しかし、現実には受けられなかった人たちがいるのです。なぜでしょうか。実はそのことを考えることは、この日本の社会の在り方を考えることになると思います。

◇夜間中学はなぜあるのでしょうか?

 日本の世の中には、残念ながら現在でもいろいろな差別があると思います。差別というものは、人をして人たらしめなくすることを平然とおこないます。差別は、人として当然認められている権利を奪うのです。子どものころ、部落差別などのために、家が貧しく、学校に行けなかった人がいます。「しょうがい」を持っているがゆえに、学校に行かせてもらえなかった人がいます。また、日本の植民地とされたため学ぶ機会を失われた人たちがいます。さらには、日本の侵略政策のために中国に残された人たちも学ぶ機会を奪われてしまっています。また、外国の人もこの日本で文字や青葉を知らないがゆえに厳しい、現状におかれています。そんな人たちが文字や権利を取り戻す・獲得する場所として夜間中学があるのです。

◇夜間中学に適う人たち

 そんな人たちは、学校に行けず、文字を習わなかったために、ほんとうに厳しい人生を歩まなければならなくなりました。それでは、いったいその人たちに、厳しい人生をおくらなければならなかった原因があるのでしょうか。ある夜間中学生は、駅構内で「禁煙」という文字が読めずにタバコを吸っていたところ、駅員さんに殴られたという経験をもっています。また、ある夜間中学生は、商売をしていて、一番つらかったことは「領収書を書いてくれ」という言葉だったと述懐しています。さらにある夜間中学生は駅の表示の文字が読めずに、必死でアナウンスを聞いていたし、行ける範囲が限られていたと述べています。そのように、文字を知らずにこの日本の社会で生きていくには、大変な苦労を強いられることをみなさんは想像できることかと思います。また、文字を知らないことによるさまざまな不利益も想像していただけるかと患います。そして、文字を知らないという思いが心に大きな傷を負わせるのだということも理解していただけるかとも思います。

 

夜間中学は中学校という名前が付いているけれど、中学校ではない

そんな人たちが、今、本来ある権利、もう少し表現を変えれば、奪われた権利を取り戻すために、夜間中学に来て、基本的には文字と言葉を中心に義務教育の内容を勉強しているのです。そうしたことから考えれば、本来は名前を夜間学校とつければいいのでしょうが、第2次世界大戦後の混乱期に夜に学ぶといった中学校の存在があったという歴史的な背景から夜間中学という名前になりました。でも、現在の夜間中学の生徒さんたちが学んでいる内容は、義務教育そのものです。だから、夜間中学は夜間小学校と夜間中学を併せた内容を持つ学校なのです。

◇夜間中学の学び

 夜間中学では学んでいる人たちが、それぞれに義務教育を取り戻しているのですから、人によって学ぶ内容は異なってきます。ある人はひらがなから学び、ある人は算数、またある人は漢字というふうに一人ひとりが学びたいことを学びます。人権に関することなどで一緒に合同の学習をすることもありますが、基本的には個人の学びです。自主夜間中学ではマンツーマンで先生と生徒さんが学びあっていますが、公立では法律があってそうはいきません。ときには公立の夜間中学では、自習しなければならないことがあります。夜間中学の学びには本当は一人ひとりに応じた先生が必要なのです。

 また、夜間中学の学びは個人によって違うので、卒業年限は一律に何年というふうに決めることができません。その人が義務教育の内容を終えた段階で卒業するときとなりますから、人によって年数は異なります。

◇夜間中学で学んで変わっていった。

 ある夜間中学生は、文字や言葉を学ぶことによって自分がなぜこうも無権利状態におかれていたのか認織するようになりました。またある人はいままで自分をマイナスにしかとらえられなくて、暗い表情だったのですが、生きる元気を強く持つようになり、とても明るい表情になりました。また外国の人は日本社会から差別と偏見の目で見られ続けていましたが、夜間中学にきて日本の社会を見る目が変わったといいます。このように夜間中学には、人間らしさを取り戻す場といった機能もあります。

◇夜間中学は本当は本来あってはならない学校のはずです。

 差別や戦争などで教育を受けられなかった人たちが、教育を取り戻す場が夜間中学なのですが、本当は、国や行政がきちんとしていれば、教育を保障できたはずです。だから、本当はあってはならないはずなのです。しかし、その保障ができなかったために、現在、そうした保障が必要になってきたのです。本来、教育を受ける権利があり、教育を受けなければならない義務があるのですから、早急に保障しなければなりません。しかし、現実には、国や行政はそのことを長い間放置してきました。そこで、人間がもつこの本来的な権利を取り戻すために、市民運動として夜間中学を設置する運動がおこり、奈良県では3校の公立夜間中学も最初は、自主夜間中学として始められました。そして、運動の結果、夜間中学の公立化の必然性が認められて、公立化が実現したのです。また2校の自主夜間中学は、その地域に夜間中学がなく、実際に夜間中学を必要とする人たちがいるので、市民運動として運営されているのです。

 

◇夜間中学は、もっと必要です。

1990年の国勢調査によれば、奈良県には義務教育を終えていない人が約18000人いるという結果が出ています。国勢調査にたいして、「私は義務教育を終えていない」と正直に書く人はそんなに多くないと思います。そのうえ、ここには日本に定住する外国人が含まれていませんから、実際に夜間中学を必要な人は、調査数の10倍ぐらいになると考えられます。すると、18000人ですね。しかし、現実に奈良県にある5つの夜間中学には約500人の生徒さんしか通えていないのです。昼間の子どもたちの学校と違って、仕事を終えて、いまから勉強をしようという環境というものを考えれば、現在の夜間中学の数では到底不足していると思います。本来、保障されている権利、奪われた権利を取り戻すために夜間中学はもっと必要です。

◇夜間中学があるか、ないか。それはその街の人権の目安。

 夜間中学に学ぶ人々は、いわば社会的には弱者といわれる人々です。あなたの住んでいる街がそうした社会的弱者にたいして、きちんとその権利を保障しているかどうかを問うということは、夜間中学があるかないかという問いをもつことで一つ目安ができると思います。あなたの街が夜間中学に学ぶ人たちなどの立場の人々にたいしてきちんと目を向けているかということです。つまり、夜間中学について考えることは部落差別、「しょうがい」者差別、外国人差別、女性差別、HIV患者などなどの差別をはじめとして、住民みんなの人権についてその街がどう考えているのかということを問えるということになると思います。

◇夜間中学に親しんでみましょう。

 でも、そんな堅苦しいことを夜間中学に関わる人々はいつもかんがえているわけではありません。差別や戦争によって教育の機会を奪われた人々がその権利を取り戻す場といえば、なにか堅苦しく、ちょっと暗い感じがしますが、そんなことはありません。いろんな背景や文化を持った人たちが、それぞれの違いを大切に認めあいながら、楽しく勉強しているところです。夜間中学には多文化共生の輪があるのです。

 奈良県の夜間中学では、いろいろなイベントをおこなっています。そんなとき、一度夜間中学に出かけてみたらどうでしょうか。この日本の社会で、いろんな人が違いを大切にともに生きているということを感じてもらえることでしょう。また、そんななかにあなたもいるのだということも感じてもらえることだと思います。一度夜間中学に出かけてみてください。

 

夜間中学運動

◇夜間中学増設運動

 奈良県には、推定で18000人もの夜間中学での学びを必要としている人がいます。

しかし、現実には、5つの夜間中学に約500人の生徒さんしか実際に学ぶことができていません。夜間中学で勉強したいと思っても、仕事・家庭・健康などの問題や、「いまさら」という思い、「字が書けないことを他人に知られるのがいや」など、いろいろな問題があるでしょう。勉強したくても、通えるところに夜間中学がないということもあります。

大切なことは、夜間中学の存在をもっと多くの人に知ってもらい、正しく理解してもらうことです。そして、夜間中学をもっとつくり、誰でも勉強したいと思ったら通えるところに夜間中学があるという状況を作ることが必要です。全国的には、公立夜間中学は、東は千葉県、西は広島県の間に33校しかありません。今日の国や地方の教育行政は、夜間中学の意義や、増設の必要性を認め、進んで夜間中学を設置するというよりも、むしろ今ある夜間中学を統廃合しようとしているのが現状です。だから、夜間中学の増設は、市民運動として進める必要があります。

◇自主夜間中学と「つくる会」の運動

 自主夜間中学を開設し運営するには、まず教室を確保することが必要です。場所は近隣から通いやすいところで駅から近いことが必要です。入り口にスロープがある建物の一階で、障害者用トイレがあればベストでしょう。使用料は出来るだけ安く、無料にしてもらえれば一番いいことは言うまでもありません。教室以外に、教材を常設するロッカーを置ける場所と簡単な調理ができるところがあれば言うことはありません。次に、勉強を「教える」スタッフを確保することが必要です。自主夜間中学ですから、教員免許は必要ありません。現在県内で開設されている吉野・西和自主夜中や公立化されている3夜中の自主夜中時代には、教員だけでなく会社員・公務員・主婦・大学生・高校生・定年退職した人・民主団体役員などさまざまな人たちがスタッフとして関わっています。最も大切な生徒さん募集については、「はたして、生徒さんが集まるのか」という不安があるでしょう。

口コミ・マスコミ・ビラ配などで夜間中学が近くに開設されていることを宣伝すると、「勉強したい」という生徒さんは必ず現れます。戦争・差別・貧困・病気・不登校などで学齢時に学校へいけなかった人、外国から来て日本語に不自由している人など、どこの地域でも夜間中学での学びを必要としている人は必ずいます。

 また、自主夜間中学を運営するためにはお金が必要です。場所代・教材費・・補食費などは最低限必要です。このような、いろいろな活動をするための団体を、奈良では「○○に夜間中学をつくる会」といっていますが、運動の母体となる団体が必要です。「夜間中学にはスタッフとして参加できないが協力したい」という人たちも含めて、自主夜間中学を物心から支えてくれる「つくる会」の会員を増やしましょう。自主夜間中学といえども、これらの生徒さんの勉強の保障は、本来行政がするべきことであるというのが原則であることに変わりはありません。行政に、自主夜間中学の意義を認識し、どのような協力・支援ができるか、公立化もふくめて要請することが必要です。

 自主夜間中学は、設立するよりも維持していくことのほうが大変です。毎回来ていたスタッフが来れなくなることもあります。生徒さんも同様です。生徒さんは、勉強するだけでなく、生活のさまざまな問題を抱えています。健康・仕事・住宅・子どもの教育・外国人登録などきめ細かく相談にのり、みんなで解決していくことも夜間中学の大切な仕事の一つです。

◇公立夜中と「育てる会Jの運動

 公立夜間中学になって、専任の教員が配置され、施設設備も公費で整備され、運営費も公的に保障されるようになれば夜間中学運動は必要でなくなるかといえばそうではありません。奈良県内の3つの公立夜間中学にはそれぞれ「○○に夜間中学をつくり育てる会」があって、活動を続けています。夜間中学は、昼間の中学校のように小学校を卒業した子どもが自動的に入学してくる学校ではありません。夜間中学の存在を広く知ってもらうための広報活動が必要です。行政が発行する「広報」に生徒募集の記事が掲載されますが、夜間中学の内容を十分知らせるものにはなっていません。ある人は、夜間中学に入学したいと思って教育委員会に電話したところ、担当者に「小学校を卒業していないと入学できませんよ」といわれて、入学をあきらめました。また、夜間中学といえども、公立になると学校教育法や教員定数法、学習指導要領などが適用されるようになりますが、これらは基本的に昼の中学校の生徒・教育を念頭に置いて作られているもので、夜間中学の実態にそぐわないところがあります。ひらかな・カタカナ・住所・名前を書けない生徒さんに中学校の教科書で授業をすることはできません。一人ひとり違った生活歴や文化・日本語能力を持った生徒さんを40名学級で一斉授業をして、テスト・評価をすることはできません。大人の生徒さんに子どもの体埠を念頭においた机・椅子は小さすぎます。障害を持った生徒さんの通学保障も行政的にはできていません。このような夜間中学が持つ独特の課題について、行政に要求し、行政が十分対応できないところを補い、時には現場の教育について注文を付けることも必要です。夜間中学生は基本的に大人であり、昼の中学生の保護者にあたる人はいません。「育てる会」はPTP(保護者)の役割を果たしているといえます。

 また、「育てる会」の主催で、新年会・忘年会・卒業を祝う会など、夜間中学生や教職員も参加して楽しい行事も行っています。

◇奈良県夜間中学連絡協議会の運動

 現在(20014月)、奈良県内には5つの夜間中学運動団体があります。「奈良に夜間中学を作り育てる会」「天理の夜間中学をつくり育てる会」「橿原に夜間中学をつくり育てる会」「吉野に夜間中学をつくる会」「西和に夜間中学をつくる会」で、それぞれ県内・県外に100300人の会員がいます。この5つの団体と5つの夜間中学で奈良県夜間中学連絡協諌会をつくっています。年一回の総会・年数回の県の教育委貞会との交渉・ターミナルでの合同ビラ配り・奈良県夜間中学研究集会・全体研修会・交流会・教材部会・養護教員部会など夜間中学の充実に必要な多彩な活動をしています。このように全県的に運動団体が夜間中学を支え、活動している全国的にも例はありません。

◇夜間中学運動にあなたも参加しよう

 奈良県内の夜間中学運動にあなたも参加しませんか。年齢・性別・職業り国籍等一切問いません。夜間中学に関わろうという気持ち
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